Skinny Call Control Protocol
Skinny Call Control Protocol(以下SCCPと略)は、Selsius社が開発した端末制御プロトコルである。
SIPやIAX等の仕様が公開されているプロトコルではなく、プロプライエタリ(仕様非公開)なプロトコルになっている。
元々の正式名称はSkinny Client Control Protocolだったが、Skinny Call Control Protocolに変更された。
SCCPまたはskinnyと呼ばれる事が多い。
経緯
シスコシステムズがSCCPの技術を入手したのは、Selsius社を買収した1998年であり、この年以降はシスコシステムズがプロトコルの定義および管理を行っている。
シスコ製IP電話機がCallManagerにレジストする際の設定ファイル名
"SEP<MACアドレス>.cnf.xml"にSelsius社のIP電話機の名残りが残っている。
(SEP・・・Selsius Ethernet Phoneの略)
特徴
SkinnyクライアントとCisco CallManager間でメッセージをやりとりするために使用されている。
SCCPは、Cisco CallManagerがSkinnyと効率的にメッセージをやりとりできるようにしたstimulus-based(クライアントからの要求に応じてサーバーから指示が与えられる)軽量なプロトコルであり、CPUやメモリーの制約が厳しいIP電話機や、ハードウェアエンドポイント、組込み型システムのための通信プロトコルとして設計されている。
Cisco CallManagerは、H.323やSIP、ISDNのほかMGCPなどの呼制御情報をやりとりする際のシグナリングプロキシサーバーとしての役割を持っており、
Cisco CallManagerとSkinnyクライアントが効率的にメッセージをやりとりできるようにした、軽量のプロトコルになっている。
なお、SkinnyクライアントとSIP、H.323端末間ではRTPが使われている。
SkinnyクライアントはTCP/IP(Port2000番が多い)を使用しており、一台の(あるいはクラスタ化された)CallManagerと通信を行う。
実装状況
ハードウェア
skinnyクライアントとしては、Cisco 7900系電話機、802.11b無線規格に対応したCisco 7920のほかに、Cisco Unity ボイスメールサーバーなどがある。
なお、日本国内限定となるが、鳥取三洋電機のIP電話機 IPP-3000も、SCCPをシグナリング プロトコルとして使用している。
ゲートウェイ、PBXへの実装
シンボルテクノロジー(現モトローラ)とSocketIPが、IP電話機とメディ
アゲートウェイコントローラー(ソフトスイッチ)にSCCPを実装しており、
オープンソースでの実装としては、AsteriskがSCCPを実装している。
(chan_skinny/chan_sccpのこと。後述)
ソフトフォン
IPBlueの開発したソフトフォンVTGO for PCはSCCPをシグナリング プロトコルとして使用しており、Cisco CallManagerサーバーからはCisco 7900シリーズの電話機として認識される。
シスコはさらにSkinny対応ソフトフォンの新バージョンとして、Cisco Unified Personal CommunicatorというSIP標準のソフトフォンを発表している。
以前、CiscoはCisco IP Softphoneというソフトフォン(JTAPI/CTIバージョン)を出していた。
Asteriskへの実装について
AsteriskにはCisco SCCP対応ドライバとしてchan_skinnyがインストールされているが、
サードパーティドライバChan-SCCPを別途インストールすることも出来る
SCCPに関する資料(外部リンク)
- voip-info.org
- Asterisk+Ciscoの情報
- Skinny Call Control Protocol
- SCCP(Skinny)プロトコルの解説 Wikipedia
- Cisco Systems to Acquire Selsius Systems, Inc. for $145 Million
- Selsius社買収のお知らせ(シスコシステムズ公式ページ)